夢―忘れたはずの記憶―『名前』
〜雪の少女の記憶〜

 少女の目の前には、
 無残な町の姿を呆然と見ている
 一人の少年が居ました。
 その少年は少女に気付きました。
 そして少年は笑顔で少女に話し掛けました。
「どうしたんだい? キミも独りかい? 僕も独りさ」
「……?」
「そうか。キミも……僕と同じか。キミも身勝手な大人の道具なんだね」
「……?」
「分からない……か。だけど、そのうち分かるよ……きっと」
「……名前……」
「ははは。自己紹介が遅れたね。僕の名前は露葵。キミの名前は?」
「……分からない」
「そうか……忘れてしまったんだね。……身勝手な大人のせいで」
「……?」
「じゃあ、キミの名前は僕が付けても良いかな?」
「……うん」
「じゃあ、キミの名前は……」
 少年はにこっと優しく笑い、
「雪菜。これからのキミの名前は雪菜だ」











 偶然が偶然を呼び、

 必然が必然を呼ぶ。

 雪の少女と出会った事は、

 偶然が必然か。

 そして舞台は、

 新たなる幕開けとなる。

 さあ、ショーを始めましょう。