夢―忘れたはずの記憶―『光陰』
〜雪の少女の記憶〜

 少女は喜ぶことを忘れてしまった。
 少女は怒ることを忘れてしまった。
 少女は哀しむことを忘れてしまった。
 少女は楽しむことを忘れてしまった。
 少女は生きることを忘れてしまった。
 少女に残ったものは命と無だけ……。

 だけど……
 少女はその無の中で、
 希望という光を見つけた。
 それは……











 素直じゃないと分かっている。

 分かっているけど、伝えられない。

 伝えられないから、上手く話せない。

 上手く話せないから、想いが届かない。

 想いが届かないから、悔やんでしまう。

 悔やんでしまうから、自分を傷つけてしまう。

 自分を傷つけてしまうから、迷惑を掛けてしまう。

 迷惑を掛けてしまうから、独りになってしまう。

 独りになってしまうと……素直じゃないと思ってしまう。

 この永久に満ちた螺旋は、切っても切って限がない。

 そう、それはまるで城に覆い尽くす荊の呪いと同じ。

 限がないから、また同じ夜を過ごしてしまう……。

 涙を流してしまう夜を……。