夢―忘れたはずの記憶―『残光』
〜雪の少女の記憶〜

 誰もが居なくなった街……。
 雪崩で崩壊して廃墟となってしまっていた。
 救急隊は他の惨事に手が付けられなくて、すぐにその街には現れなかった。
 現れなかった理由はそれだけではなかった。
 それは、
 誰が見ても分かるくらい……無残な光景だったから……。
 町全体に覆われた雪の塊。12階建てのビルさえも埋まっていた。

 でも、
 誰が予想してのでしょうか?いえ、絶対に有り得ない事だった。
 この崩壊した街の中に生存者が居た事を……。
 その生存者とは、
 兄の死が分からなかった少女だった。

 あの少女が生きていた。
 奇跡が起きたのでしょう。
 神は少女を見捨てたりはしなかった。
 だけど、
 少女は全てを失ってしまった……。
 家族も……
 友人も……
 故郷も……
 そして、記憶さえも……。











 力。

 それは使い方によっては、

 闇を滅ぼすものであり、

 光を導くもの。

 また、

 それは光を滅ぼすものであり、

 闇と化すもの。

 己の力とはただの自己満足にしか過ぎない。

 本当の力とは、友を護り、想う力。

 人はまだ、本当の力というものが分かっていない。

 力の本当の意味を……