空からの贈り物。
雪。
街に雪が降っている。
その日はクリスマス。
人々は幸せを感じました。
きっと、忘れないクリスマスになるな……。
人々は多分、そう思ったのではないでしょうか?
ええ……。
その日は永遠に、
忘れることはないでしょう。
クリスマスから1週間が経ちました。
そして人々は疑問に思っていました。
雪がやまない……と。
休むことなく降り続ける雪。
クリスマス日からやまない雪。
この雪は何を伝えようとしてたのでしょうか?
地震?
天災?
飢餓?
……この全ては間違ってはなかった。
もっと早く気付けばよかった……。
この雪が、予兆であることを。
2週間目、
クリスマスから降り続ける雪はまだやまなかったのです。
でも子どもたちは大はしゃぎ。
子どもは雪が好きだから。
だから子ども達は幸せなのでしょう。
だけど、
幸せは、
いつか……
消えるものだから……。
今感じている幸せも
もう……おしまい……。
突然の地震。
ただの地震ではない。
かなりの大地震だったのです。
この世界が崩壊してしまうぐらいの。
大はしゃぎしていた子ども達も、混乱していました。
その混乱している子ども達の中に、冷静な少年少女がいました。
その二人は兄妹。
兄の方は地震だと分かっていたのでしたが、
妹の方は、ぽけ〜っとしています。
地震が分からないのでしょう。
地震がおさまらない。
地震の強さに次々と建物が崩れていく。
それは少年少女の近くでも。
突然、少女の近くにあった電柱が、少女に向けて倒れてきました。
少年はとっさに少女をかばいました。
それから二人の意識はなくなりました。
少女は目を覚ましました。
少女が見たものは……
家がなくなり、帰る場所を失った家族。
両親を失った子ども達の涙。
そして、少女の目の前には……
ぐったりと倒れている兄の姿。
「おにいちゃん? ここでねてると、カゼひくよ?」
少女が少年に向かってそう言っているものの、少年は無反応。
「おにいちゃん。おにいちゃんってば……」
……少女は幼かった。
いや、幼すぎたのです。
少女には『死』ということを知らなかったのです……。
「む〜おにいちゃんのイジワル……。なんできいてくれないのぉ?」
少女の声が、街の中で空しく響いた。
そして……、
過去に起きた良い出来事はすぐに消えても、
過去に起きた嫌な出来事は永遠に消えない。
そして時には出来事全てを消してしまうこともある。
時という欠片のピースが、足元に落ちている。
それを組み立てるか、放置しておくのも自分次第。
哀しみの過去を忘れ、今を過ごしている雪の少女。
雪の少女は貴方の近くに居る。