「この世界は全て神が創った空想で出来ています。そう、ここで私と会うのもシナリオ通りなんです……」
と、俺の目の前にいる天使はそう言った。
俺にはその時分からなかった。
この天使の少女の言っている意味が……。
「わかりますか?人間は運命に逆らっては……いけないのです。神に抗っては……いけないんですよ……」
と、天使の少女は泣きながら言った。
なぜこの天使の少女が泣いてるのか分からなかった。
俺を消そうとしているのに、どうして泣くのだろう?
『――ページを失っているからだよ』
突然、どこからか声が聞こえた。
今の声は……。
一体……?
「ごめんなさい……翔くん……。もう、私には止められないんです……。私はここで……貴方の存在消滅を執行します!」
天使の少女は、鍵のついた本を取り出し鍵を差した。
その瞬間、俺の身体が熱くなってくる。やはり、その本は俺の……
「く……あ……。空、止めるんだ!」
天使の少女『空』は、涙を拭いて俺に笑顔を見せた。
「……翔くん、ごめんなさい。だけど貴方は“運命の子”。貴方はまた神に抗うかもしれない。存在は消しても、想いの概念が残っていたら、貴方はまた私に会うから……。私と翔くんのお話は、永遠に終わらないお話。読んでも読んでも、終わらないから……だから……。これは別れじゃない……、再会だからね……」
「そらぁーーーー!!!」
一瞬にして空間が消滅した。そして俺は……