☆3☆ ツインテールの少女=水素
〜Material Element〜

 本から出てきたツインテールの少女!!
 果たしてその正体は!?
 はい、CM明けです!
 決して、文字数を稼ごうという、企みはないよ。
 さてと……本題に戻って。
 この少女の正体は……一体。
「って、タイトルに答えが出てるよっ!?」
 ネタバレっ!?
 少女の正体は水素って……。
 ダメじゃん……これ。
 オチとかどうするの?
「ん? 何、一人でぶつぶつ呟いているの?」
 水素らしき少女(?)が、言う。
 ほんと、能天気だなぁ。
 私はキミのことで悩んでいるんですけど。
 これから、どう対処していくかって。
「もしかして、現実逃避? ダメだよ、二次元に逃げちゃ」
「私は逃げてないよ!?」
「じゃあ、何で蹲って、呟いてるの?」
「それは……」
 今起きていることに、頭の処理速度が間に合わなくて。
 ネタバレしていて。
 何をしたら良いか分からなくて。
「とにかく、現状が掴めない!!」
「じゃあ、自己紹介でも……」
 にこにこしながら、ちっちゃな少女は言った。
「その手があった!!」
 わっ、と少女は驚いた。
 突然叫んだことに少女は胸を抑えながらドキドキしていた。
「私は瑠璃。斎藤瑠璃。いたって普通の女子高校生。キミは?」
「私? 私の名はハイドラ=ジェネオ。これでも、水素だったりします。後、水素を生み出せられる能力を持っています。瑠璃、こちらこそどうぞ宜しく」
 あれ?
 何か、冷め切ってる……。
 さっきまでの「多分呼ばれてないけど、じゃじゃじゃじゃ〜〜ん☆」とか、「良し! 掴み所はバッチリだねっ♪」とか、ジャンプしながら言っていた幼いモード万端みたいな少女はどこに!?
「何か、さっきと待遇が違う……」
「私は水素なので、クールに生きていかないといけないのです。さっきまでの『ろりぃもーど』は貴方と馴染み易くするためのものです。以下、私はこの口調で進みますので宜しく」
 く、クールだ……。
 小さいけど、大人っぽく見える……。
「で、さっき言ってた、水素を生み出せれる能力っていうのは……何?」
「名の如くです。水素を生み出せます。火を点すと、小さな爆発を生じます」
「化学だね……」
 ハイドラが言っていることは、学校の頭が痛くなる授業と同じ事だけど……何だか、こっちの方が楽しい気がする。
 小さな先生の授業。
 そんな感じ。
「じゃあ、あと酸素があると、水を作れたりするの?」
 小さな先生に質問。
「そうですね。水が創れます。しかし、それは……複合錬金術ですから、私一人では不可能ですね。仕方ない、あの子を呼びますか」
「あの子?」
 あの子って誰だろうと思っていると、ハイドラは『〜Material Element〜』の本を拾い上げた。
 そしてハイドラは何か、宙にタトゥーらしきものを描き出した。
 いっぱい、分からない文字があったけど、あれはOと描いているのだと思う。
 描き上がると、タトゥーは緑色に光りだした。
 この展開って……
 光が無くなると、少女が出てくるんじゃ……。
 タトゥーの光が消える。
 だけど、何も変化なし。
 少女らしき子も居ない。
「あれ……?」
 頭を捻った。
 何が起こったのかさっぱり。
「オキシィ、隠れてないで出てきなさい」
――ガタ、
 後ろの本棚から物音がした。
 後ろを振り向くと、そこには……
 涙顔で、こちらを見ている少女らしき子が私を見ていた。
「あれ……? あの子ハイドラに似ている」
 ハイドラと姿形そっくり。
 ただ、髪の色が違うだけ。
 ハイドラは青。
 びくびくしている子は緑。
 カチューシャをしているのが、特徴だね。
「すみませんね。あの子は臆病で人見知りですから」
「そうなのかぁ……」
 そう言いながらも近づく私。
 案の定、ハイドラと似ている子は頭を抱えて蹲まった。
「ほら、恐くないよ……」
 私は手を差し伸ばした。
「ぁ……、ぇっと……」
 少女は手を握った。
 何かを確かめるかのように。
「ぁ……」
 少女の顔が赤くなる。
 何だか、嬉しそう。
「ぁ……、貴方が今度の私の……マスター……?」
「そうだよ」
 即答。
 けど、マスターってなんだろう?
「やっぱり……。あの人と……同じ温もりがする」
 あの人?
 一体誰だろう?
「じ、自分は……オキシィ=ジェネオ。酸素の役割をしています……。それとハイドラ姉さまの妹です……、ぁ、あの……」
「私は斎藤瑠璃。よろしく、オキシィ」
「は、はい……瑠璃様」
 こうして、私は二人の少女と出会った。
 この出会いは運命的なものを感じた。
 そして私は、この後に待ち構えているものを知る事となる。