「ん? 何これ……?」
テーブルの上には何やら手紙が2枚置かれていた。
私はその片方の手紙を見る。
「なになに……?」
それは父が書いた字であった。
その内容とは
「会社が倒産しました。もう父さん、倒産しちゃったから家に帰れないよ。なんちゃって(笑い)あははははははは……。って!! 笑い事じゃないよ!?」
父は大手企業会社の社長をしていた。
最近は不景気で会社の利益も出なく、赤字ばかりだと聞いていた。
けど……まさか倒産だなんて。
「ん? 何これ?」
私は最後のほうに『裏を見てね♪』と書かれていたので、裏を見る。
するとそこには……
「一、十、百、千、万……。じゅ、十億円!!? え……これって……。やっぱり、借金だあーー!! どうしよう……ってお母さん!?」
大きく書かれた借金額という文字。
慌てて部屋に居るはずの母を呼んだけど、母は一向に部屋から出てこない。
私は心配になって母の寝室へと向かい、母を呼んだ。
「お母さん? 居ないのー? 返事してよー」
部屋からは返事がなかった。
しかたなく私はリビングに戻り、ソファーに座る。
そして私はもう1枚手紙があったことに気付き、そのもう1枚の手紙を見た。
それは紛れもなく母の字。
そこに書かれてあった内容とは
「瑠璃ちゃん、ゴメンなさい。もう私は生きていけられないと思い、この家を出ることにします。瑠璃ちゃんには悪いけど、健ちゃんと二人で頑張って生活してね♪ もちろん、私は貴方達のことが心配だから、金庫に百万円ぐらい残してあるから、もしピンチの時はそれで凌いでね♪ それとちゃんと、学校にも行って仕事もするのよ。By瑠璃ちゃんが大好きなお母さんより♪ って……お母さん……。何でこんなこと内緒にしてたのよ……」
私はその手紙を見て呆れた。母はいつも通り呑気だったから。
手紙中に書かれていた瑠璃という名前は私の名前、斎藤瑠璃。
健と書かれていたのは、私の二つ下の弟、斎藤健。
私は高校生だけど、健はもう中学卒業間じかだと言うのに……。
子供のこと、ちっとも考えてなかったんなんて。
だけど、百万かぁ……。
何ヶ月持つかな……?
それに、
「そういえば……使用人さんの顔も見えないと思ったら……。解雇されていたのね」
お金がこんなに無いんじゃ、使用人も頼めない。
これからは健と二人で自給自足しなくちゃいけないの……。
そんな事を考えてると、自信を無くしてしまう。
私は幼い頃から、使用人さんの後姿ばかり見ていた。
何か私がしようとすると、全て使用人さんがやってくれるから、楽だったけど……。
今考えて見ると、私に出来る事と言えば調理ぐらいしか出来ない。
掃除、洗濯は全て使用人さんがやってくれていたから……。
「はあ……。お父さんとお母さんの馬鹿」
だけど今さら愚痴を言っていてもしょうがないよね。
今から……何をしようかな?
炊事、洗濯、掃除……。
何だか、かったるいよね……。
こんなただ広いだけの屋敷を掃除するなんて……。
簡単に言えば、普通の高等学校の敷地内を大掃除するぐらいだから……。
一日掛かりますよ。これは……。
「とりあえず、図書部屋に行ってみますか」
考えた末、私は何千冊もある図書部屋に行くことにいた。
……これって単なる暇する時間の弄び?
ま、いいか。
本当に暇なんだから……。
……これを現実逃避って言う人も居るけど。